PHUONG (フオン) には、「火炎樹」以外にも種類がある

夏に咲くPHUONG (フオン)

日本の代表的な花というとサクラで、入学式のころに咲きますが、ベトナムでは夏休みのころになると、「PHUONG (フオン)」 という木が真っ赤な花を咲かせます。

ベトナムの夏休みは6月から8月いっぱいまで、学年が終了して新学年が始まるまでの約3か月間です。
生徒たちは、長い休みで親友などと離れ離れにならなければならず、寂しい気分になります。
初恋が芽生えたりしている思春期の思い出の季節でもあります。
こうした淡い想いが、ベトナムではよく歌のテーマにされます。
なかでも、「HAI PHONG HOA PHUONG DO (ハイフォンよ!真っ赤な火焔樹の花!)」という歌が有名です。

コンソン島(đảo Côn Sơn)の火炎樹
コンソン島(đảo Côn Sơn)の火炎樹

この「PHUONG」という植物は、日本では和名で「鳳凰木 (ほうおうぼく)」、あるいは「火焔樹/火炎樹 (カエンジュ)」と呼ばれています。
「火焔樹/火炎樹」という名前は、英語名「Flamboyant (燃えるような)」からの訳であるとも、真っ赤な花が木全体に咲き、炎が燃えているかのように見受けられるからとも言われています。

PHUONG (フオン) には2系統ある

ところで、一口に「サクラ」と言っても、いろいろな種類があります。
メインはソメイヨシノですが、サトザクラ、葉っぱが出てから咲く山桜、早咲きの河津桜、枝垂桜、富士桜、八重桜、マメザクラ、沖縄など暖かい地方の寒緋桜等々、品種は600以上にも上ります。とても覚えられません。
そして、桜ではないのに、名前に「桜」が付く芝桜もあります。

ベトナムで「PHUONG」というと真っ赤なフオンをイメージしますが、実は大きく2つの系統があって、さらに派生したいろいろな種類があるのです。
2つの系統とは、

  • マメ科火焔樹/火炎樹/鳳凰木赤色の花 (PHUONG)。その仲間で黄色の花のものもありますが、少ないので、あまり目に留まることはありません。
  • ノウゼンカズラ科ジャカランダ青紫色 (PHUONG TIM)。その仲間で非常にまれですが白花のもの (PHUONG TRANG) もあり、こちらはあまり見ることができないので、幻の花と思われています。

PHUONGの系統 1:マメ科の火焔樹/火炎樹/鳳凰木

火炎樹
火炎樹 “PHUONG”

赤花の PHUONG (火焔樹/火炎樹/鳳凰木)の原産地はマダガスカル島で、19世紀ごろ、フランス人によってベトナムに持ちこまれました。
学名は、Delonix regia (Bojer ex Hook.) Raf.、マメ科です。

PHUONGの系統 2:ノウゼンカズラ科のジャカランダ

この系統には、青紫色の花が咲くジャカランダ (PHUONG TIM)、珍しい白色の花が咲くジャカランダ (PHUONG TRANG) があります。
いずれも学名は、Jacaranda mimosifolia、ノウゼンカズラ科です。

花が青紫色のジャカランダ (PHUONG TIM)

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青紫ジャカランダ “phuong tim” Photo by Bằng Hồ

青紫ジャカランダは、1962年にフランスに留学した農業技士ルン・バン・サウ (LUONG VAN SAU) 氏によって、フランスからベトナムに持ちかえられました。
もともとベトナムにない植物なのでベトナム名はなく、植物としては違うものの、葉っぱや木の形が PHUONG (火焔樹/火炎樹/鳳凰木) に似ており、花も紫系の色のため、「PHUONG TIM」と名づけられました。
TIM は、ベトナム語でという意味です。

花が白色のジャカランダ (PHUONG TRANG)

白いジャカランダ
白いジャカランダの花 “PHUONG TRANG”

FUJI教育基金運営委員のカーさんの友人に、ダラット在住のトラン・ハ・アン(TRAN HA ANH) 博士とハ・ゴック・マイ(HA NGOC MAI)博士のご夫妻がいて、お宅の庭には白いジャカランダが咲きます。
奥様のマイ博士はオーストラリアに留学し、1998年に帰国するとき白いジャカランダの木を持ち帰って庭に植えたところ、10年後に花が咲きました。

白いジャカランダを栽培しているマイ博士

トランさんのお宅の庭に咲く白いジャカランダ (PHUONG TRANG) は、ベトナムでは非常に珍しいものです。
TRANG は、ベトナム語での意味です。

白いジャカランダの花を眺めるトラン博士・マイ博士ご夫妻

白いジャカランダの花は春に咲く花です。例年FUJI教育基金では奨学金授与の旅を10月に行っていますが、そのときは花が咲いていないのが残念です。

火炎樹と火炎木

ここで、ややこしい話をします。
ノウゼンカズラ科には、PHUONGの系統とは違う「火焔木/火炎木 (カエンボク;学名は Spathodea campanu-lata、ノウゼンカズラ科)」という植物があって、これは火焔樹/火炎樹/鳳凰木とは全く違います。

火焔木/火炎木のベトナム名は「CHUONG VANG (直訳すれば黄色鐘)」で、花は赤みがかったオレンジ色です。
花をパッと見ると、まさに炎のように天に向かって赤っぽく咲いています。
アフリカ原産の植物で、英名の一つに「AFRICAN TULIP TREE」があるため、日本では「アフリカン・チューリップツリー」とも言います。

「炎」のイメージは、この火焔木/火炎木のほうが素晴らしいです。
火焔樹/火炎樹や鳳凰木の意味からすると木全体が炎の形であるように思われますが、火焔木/火炎木は、天に向かって真っ赤に咲いている一つ一つの花の姿が、まさに炎が燃えているように感じられます。

火焔木と火焔樹。木と樹は大体同じ意味で紛らわしいから、うっかりすると間違えてしまいます。

火焔樹/火炎樹/鳳凰木はベトナム全国どこでも見られますが、火焔木/火炎木は、以前はラムドン省のダラット (Da Lat) 市や、ホーチミン市からダラットへ行く途中のバオロク (Bao Loc) 市のあたりでしか見られませんでした。
最近は平地にもたくさん植えられるようになったので、目に留まる機会が多くなりました。

世界三大花木とは?

世界三大花木は、だれが選んだのかは分かりませんが、一般に、
  ・火焔木/火炎木
  ・ジャカランダ
  ・火焔樹/火炎樹/鳳凰木

と言われています。

最後に、ベトナム人で「PHUONG」という名前を持つ女性をよくお見掛けします。
同じアルファベットスペルのPHUONGでも、「PHƯỢNG (鳳)」の方も、アクセントが違う「PHƯƠNG (芳)」の方もいます。ややこしいですね。どちらも、多い名前です。

(T.B.LUONG/PMKha/SAITO)

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