南部地方（Miền Nam）

ハティエン市はカンボジアとの国境の街であり、フーコック島への玄関口です。ここは、いまから300年以上昔、｢辮髪 (べんぱつ)」を受けいられなかった中国明朝の将軍 Mac Cuu によって開かれました。
ここからカマウ市に向かって230km走る長距離バスは、運河に沿って、どこかのんびりした道を進みます。

1978年、カンボジアのポルポト軍はベトナム領土へ侵攻し、この付近の多数の住民を虐殺しました。
慰霊堂には、この周辺で虐殺された人々の頭蓋骨、大腿骨1,159体が安置されています。
それは人間の非道さの証拠であり、ふたたびこのようなことを起こしてはならないと、つよく訴えています。

ソクチャン省はメコン川が南シナ海に注ぎ込む河口に位置していて、平地で農業に適した土地です。昔からクメール族が多数住んでいて、現在でも人口の約３割を占めており、多数のクメール寺院があるなど、クメール文化を色濃く残している地域です。
省都ソクチャン市および周辺にある、とってもユニークな寺院を訪ねました。

ここはベトナム戦争の激戦地。南ベトナム解放民族戦線はこの岩だらけの丘を天然の要塞として、岩の隙間を利用して戦いつづけました。米軍は1968年11月16日から1969年3月24日まで4か月以上、周囲を封鎖して、大量の砲弾を浴びせ、大量のヘリコプターを動員して空から攻撃したにもかかわらず、南ベトナム解放民族戦線の要塞を陥落させることができず、ついに攻略をあきらめたのです。

「扶南 (ふなん) 国｣（中国の呼称）は、紀元1世紀ごろ、メコン川下流域に、オーストロネシア系が建国したといわれています。扶南国は交易国家として５世紀に全盛を迎えたものの、７世紀にはクメール人の王国「真臘 (しんろう Chân Lạp)」によって滅ぼされました。
クメール語で「水晶の運河」を意味する「オケオはインド等（西方）と中国（東方）の間の長距離交易と、メコン川流域の域内交流を結び付けた重要な遺跡と言われ」(船引彩子・久保純子・南雲直子・山形眞理子・グエン キエン「メコンデルタ，オケオ遺跡における古代運河の形成｣『日本地理学会発表要旨集 2019s(0), 212, 2019』公益社団法人 日本地理学会より)、 ヒンドゥーの神像や仏像、漢の鏡、ローマのマルクス・アウレリウス金貨などが発掘されています。

チベット高原を源流とし、雲南省からミャンマー・ラオス国境、タイ・ラオス国境を通りカンボジアに入ったメコン川は、プノンペンでトンレサップ湖からの流れと合流し、バサック川という支流が生まれます。バサック川はチャウドック市でベトナムに入ると ハウザン（Hậu Giang）と呼ばれ、ロンスエン市、カントー市を通って南シナ海へそそぎます。

タンソンニャット空港の東を流れるヴァム・トゥアット川（旧ベン・カット川）の中洲にピカピカの寺院がある。でも、どこから、どうやって渡ればいいのか、分からない・・・。
フーチャウ寺院は、 Vam Thuat川の中洲の砂丘に建てられています。
伝説によると、いまから３世紀ほど前、川岸で釣りをしていた漁師がThủy Tế の像を見つけました。それを礼拝するために、浮き島に小さな寺院を建てたそうです。

フランスは1861年、重罪人たちを投獄する刑務所をつくり、危険な政治囚を多く収容するようになります。
1954年のフランス撤退後はアメリカが引き継ぎ、愛国者・革命家、国旗に敬意を払わない人、文化人などを投獄しました。
ここでは政治犯が20万人以上収容され、２万人が獄死しました。｢トラの檻」と呼ばれる地獄がありました。

コンソン島は、南シナ海に浮かぶコンダオ諸島のなかでいちばん大きく、ブンタウ市の南南東約200kmにある島です。アオウミガメの産卵地で、サンゴ礁やマングローブなどの豊かな生態系は、環境保全地域として保護されています。
降り注ぐ南国の太陽を大きな樹いっぱいに広がる葉がさえぎってくれる。海からの風が、熱帯の暑さを吹き飛ばす。

人口16万人（2018年）のチャウドック市は、メコン川の支流バサック川（Hậu Giang {ハウザン：後江} と呼ばれる）がカンボジアからベトナムへ流れてくる国境に位置しており、キン族と、少数民族のチャム族・クメール族が住んでいます。

Ba Hòn Đầmが属するバールア諸島 (Bà Lụa Islands) はベトナム西南部キエンザン省の沖合にあって、大小さまざまな約45の島から成り、｢南のハロン湾」と呼ばれています。
Ba Hòn Đầm は ３つの小さい島（Đầm Giếng、Đầm Dương、Đầm Đước）からなり、Hòn Chông 桟橋から12キロメートル沖合にあります。

メコンデルタの最高峰、標高705メートルのカム山にはロープウェイで登る予定でした。しかし、このロープウェイは2015年に開通したものの間もなくトラブルがあって、以来動いていないとのこと。広い駐車場にあるチケット売り場でカム山への入場券（専用バスの切符）を購入し、小型の専用バスに乗り換えて山頂をめざします。

船外発動機付きボートでまわったカマウ岬のマングローブの森と干潟、カマウケープ国立公園内で泊まったホームステイ、そして再びカマウ市に戻り、そのまま長距離バスでホーチミン市に着くまでを、写真中心に紹介します (2019年10月)。

チャウドック市から南西に30ｋｍのところに、チャスーの森があります。ここには、140 types of 植物と、70 species of 鳥類, 11 types of 動物, 25 species of ハチュウ類, 23 kinds of 魚類 が生息する自然の楽園です。

2019年10月、カマウ市からハイドロジェットボートでカマウ岬の先端まで行き、カマウケープ国立公園内のホームステイに泊まりました。２回に分けてカマウ岬を紹介します。
ここでは、カマウ市中心部からカマウ岬の最先端までの舟旅の様子、カマウ岬の先端にあるモニュメントや周辺の様子を写真中心に紹介します。