bell tower

2003年10月21日~10月28日

参加者:平田煕、ト・ブー・ルーン、ファン・マン・カー、佐野良子、
林勝、小倉くら子、小倉恭二郎
北部参加者:小松みゆき、ファン・ホァン・キー、デイン・グエト・アン
南部参加者:トゥルーン(敬称略)

[10月21日(火) 成田→ハノイ]

ハノイ到着

16:30 成田発VN955便、飛行機は定刻どおり離陸。
19:55(ベトナム時間)ハノイのノイバイ空港に到着。気温25度と涼しい。
 早速、本日のホテル・コンドアンへ、夕食は機内ですませてあったので、明日の旅程を考えて早めの休息。

[10月22日(水) ハノイ→ニンビン]

ハノイから南東100キロメートルへ

 07:55 出発。
 ニンビン省への旅には、メンバーの他にハノイ在住で日越の文化交流に活躍している小松みゆきさん (小松さんは83歳の母親を日本から引き取って、2人で暮らしています)、カーさんの甥御夫婦 (ファン・ホァン・キーさんとデイン・グエト・アンさん) が道案内として、奨学金の旅に参加してくれました。

 訪問するチャット・ビン中学校は、ハノイから南100キロメートルほどのところにある純農村地帯の中学校で、カーさんの故郷でもあります。
 ニンビンへの旅は昨年(2002年)に続いて2回目になります。
 朝、ハノイ市内で生徒たちへのお土産の文房具を調達したとき、時間をとられるというハプニングがありました。
 全校生徒の手に渡る数を揃えるため、いちどに大量の品物を求めたところ、店内に在庫がなく、お店の人が倉庫まで取りにいったのです。そのため多少時間をとられ、学校への到着が若干遅れてしまいました。

チャット・ビン中学校での授与式

 式場には、われわれ一行の到着を、中学生が行儀よく待っていました。
 到着後すぐに式が始まり、最初にチャット・ビン中学校の校長先生ファン・マン・フンさんの挨拶。

 FUJI奨学金の方々が遠い日本からこのチャット・ビン中学校に援助をしてくださることに感謝しております。願わくばこのFUJI奨学金が1年でも永く続くよう、よろしくお願いします。

 地区人民委員会、教育委員会幹部、村長などの挨拶が続きます。みな一様に、
 「FUJI奨学金が永く続いて、大きく発展するよう願っています」
と話されました。
 続いて第2回奨学金授与式、30名の生徒一人ひとりに奨学金を手渡す。
 生徒代表のキエウさん(PHAM THI THANH KIEU:中学2年生)が真剣な眼差しで感謝の言葉を述べ、最後にFUJI奨学金メンバー代表の平田先生が、中学生に向かって、

 皆さんは21世紀に生きる人間として、可能性を大いに秘めているので、その可能性を伸ばしてください。

と挨拶。全員で写真撮影をして、式を終える。
 式の後、学校側が用意してくれた昼食(女性の先生が作ってくれた家庭料理で、全部美味しかった)を校長先生、人民委員会幹部、村の幹部、教職員と奨学金メンバーでいっしょにいただきました。
 食後カーさんの従兄弟の家でお茶をご馳走になり、祖先を祀ってある廟にお線香をあげて、チャット・ビン村を後にする。

ファッジェム教会

 帰路、ニンビン省最大で、ベトナムでもメッカ的な存在のファッジェム教会に寄りました。
 別名「石の教会」(ニャー・トー・ダー)と呼ばれ、その存在はキリスト教徒ではない人たちの間にも深く浸透されてきました。
 19世紀終わりに陳六(TRAN LUC)神父によって建てられたこのベトナム最古の木造建築教会は、ベトナム様式と西洋様式が見事にマッチしているたいへん見事な造りです。本殿はことのほか荘厳な造りとなっていて、本殿を支えている巨大な柱(いちばん重い柱は1本が10トン)は見るものの心を奪ってしまう壮観さです。
 歴史的な建造物を堪能して、石の教会をバックに、美人の写真屋さんに記念写真を撮ってもらいました。

ファッジェム教会については、「東南アジア最大規模の石+木造建築「ファッジエム大聖堂 (Nhà Thờ Phát Diệm)」があるニンビン省キムソン県をご覧ください。

水上人形劇の観賞

 ハノイへ着いたころには、とっぷりと日も暮れていました。
18:30 夕食。
 「今日は珍しい料理を食べましょう」とのルーンさんの提案で、精進料理の夕食を食べました。
 日本の精進料理より油を多めに使用しているようだし、ニンニクも使っている料理もあるし、ベトナムの坊さんは煩悩を抑えることができるかな?
20:0021:00 食後、日本人メンバーのみで水上人形劇の観賞。最前列の特等席に座りました。
 目の前で水上人形のユニークな動きが手にとるように見えて、貴重な経験をしました。

[10月23日(木) ハノイ→HCM]

バッチャン焼きの村

08:30 出発 (平田先生は一足先にカントーへ)。
 カーさんの案内でバッチャン焼きの村へ、何軒かの陶器店を回り、1時間ほど買物。
 ハノイへ帰る道が大渋滞。飛行機の時間を考えると昼食の時間をゆっくり取れないということで、急遽カーさん推薦のフォーの専門店で軽めの昼食にして、ノイバイ飛行場へ (途中でルーンさんと合流)。
15:00 飛行機でホーチミン(HCM) 市へ。

HCM市へ

17:00 タンソンニャット空港へ到着 (気温25度)。
 空港でルーンさんの会社の職員バンさんの出迎え受け、HCMのサイゴン・ホテルへ。
 夕食はトゥルーンさんお薦めの店へ、カーさんが途中で合流しての夕食。

[10月 24日(金) HCM→カントー]

カントーへ

08:00 出発。
 カントーへの旅には、新たにルーンさんの会社の職員ウットさんと、当基金顧問のブイ・チ・トゥルーンさんが加わり、8名でカントーへ。前日一足先にカントーに着いた平田先生も合流。

カントー大学での授与式と交流

15:30 カントー大学へ到着。
 若いチョン教授(農工大に留学経験)に研究棟の案内を受ける。
 学生が食品加工の実習でジュースなどを作っている現場にも案内してくれました。
16:00 授与式場へ。私たちは農学部長に迎えられて会場に入りました。
 ベトナム側から、まず各先生の紹介がある。
 続いてカーさんが挨拶し、1991年から始まったFUJI奨学金の設立の話、最初からのメンバーで現在残っている3人(カーさん、ルーンさん、トゥルーンさん)の紹介、他の日本側メンバーの紹介を行う。
 チェン教授が20人の奨学生の選定経過を話される (農学部より推薦を受けて、最終的に学長が決定する)。
 奨学金を学生一人ひとりに直接手渡したあと、全員で記念撮影。
 学生代表のグエン・バン・ティエン君から奨学金に対する感謝の言葉を受け、日本側を代表して平田先生が挨拶、学生に対して、

 本来メコンデルタは恵まれたところです、自然の豊かな所をいかに残すかが今後の大きなテーマであると同時に、大学で学んだ研究成果をどう生かすかが君たちの課題だと思います、故郷に帰り農業をより発展させてください。

と結んだ。
 式の後に学生食堂で、日本側メンバーが数人ずつ分かれて学生と食卓を囲んでの食事会。昨年の奨学生で日本語を勉強している学生も食事会に参加して、日本語のレクチャーを受けながらの異文化交流の夕食会でした。

[10月25日(土) カントー→チャウドック]

水上マーケットと果樹園

08:00 ホテル・ニン・キュー出発 (カーさんはHCMへ帰るため、お見送り)。
 水上マーケット見学と果樹園散策。
 出発時の雨も止み、快適にニッパヤシのジャングルに分け入り、目的の果樹園に到着。
 新鮮な果物を食べました。
10:00 ホテルへ戻り。
10:25 ホテル・ニン・キューを出発。
12:00 アンザン省の省都ロンスエンに到着。
 そこでは、アンザン大学のボー・トン・スワン学長、ルーンさん、滝本健雄さん(当基金運営委員)が引率している茨城県の農業関係者一行が、昼食会場で私たちの到着を首を長くして待っていました。
 昼食会場が一気に日越の宴会場となり、楽しいあっという間に時間は過ぎ、昼食後、茨城の一行とお別れ。
13:20 ロンスエン出発、チャウドックへ。

ビン・チャウ中学校訪問

15:00 佐野良子さんが校舎を寄付した、チャウドックのビン・チャウ中学校(旧ビン・ミー中学:ビンミー村からビン・チャウ村が分離独立したため、学校の名称が変わりました)に寄る。
 有志のカンパでノート、ボールペン、体育の服(ユニホーム)等を寄贈。
 今回の訪問は、佐野さんが新たに寄付したトイレと、すでに使用している校舎を見ることが目的でした。新しい校舎なのに、乱暴に扱っていることがうかがえました。新任の校長サン先生、人民委員会幹部、村の共産党書記などにそれとなく伝えました。

ツー・コア・ギア高校で中高合同奨学金授与式

 16:00 チャウドックのツー・コア・ギア高校で合同(ツ・コ・ギア高校生徒数 2,200人、グエン・デイン・チュー中学校生徒数=2,760人)の奨学金授与式。ここは、ルーンさんの母校です。
 私たちを迎えてくれた中学校の校長先生が、
 「本来は高校の校長先生が皆さんを歓迎する予定でしたが、別の用事で皆さんをお出迎えできないことをお詫びします」
と、挨拶。
 ルーンさんの挨拶に続いて、平田先生が生徒たちに、

21世紀のベトナムが、皆さんの活躍により、いっそう発展するよう頑張ってください。

とエールを送る。

 式後に生徒と質疑応答。

[男子高校生] FUJI奨学金のことを知りたい。
[男子高校生] 将来留学したいと思いますが、そのときには奨学金をもらえますか?

ルーンさんが丁寧に説明

[日本側] みなさんが考えている将来の職業は?

[高校生たち] 医者。教員。薬剤師。システムエンジニア。弁護士。考古学者。等々。

 また、質問は「富士山の形」など多岐にわたっていました。
 夜、10名の高校生を招待して、一緒に夕食を食べながら交流。食事中にベトナムの歌も出て、たいへん楽しい食事会となりました。

[10月26日(日) チャウドック→HCM]

サム山

07:40 出発 サム山へ (生徒有志も同行・9名)。
 いつもながらサム山からの眺めは素晴らしいと思う。
 サム山の茶店で高校生もリラックスして、私たちに将来のことなどを話してくれました。
10:30 高校生と別れ、ホテルへ、即チェック・アウト。
11:00 ルーンさんの実家を訪問。ご両親も健在で、お茶とモンキーバナナで歓待を受け、
11:40 ルーンさんの実家を離れる。
13:05 ロンスエンのフェリー。
 買い物している最中に車だけが先行、5分遅れで次のフェリーに乗る。
13:25 フェリーで対岸へ、途中で軽い昼食をとる。
15:00 ミトーを経て、サイゴン・ホテルにチェック・イン。
19:00 夕食はカーさん、バンさんの案内で海鮮料理の店へ、どれもこれも新鮮で美味。

 いったんホテルへ帰り、最後のHCMの夜だからと、東京にもありそうなカフェ・バー(生演奏)にカーさんが案内してくれ、サイゴンの夜を楽しんでホテルへ。

[10月27日(月) HCM→カンゾー→HCM→東京]

カンゾーのマングローブ林

08:00 出発、以前に来たときは2回フェリーに乗りましたが、今回は1回ですみました。
 もう1カ所には立派な橋が出来て、時間的にはだいぶ短縮されました。
10:15 カンゾーに到着。
 カンゾー生物圏保護地区は、ホーチミン市の南端に位置し、マングローブ林の劇的な再生で世界的に有名な場所 (ベトナム戦争で米軍の枯葉剤散布が原因で、壊滅的なマングローブ林の損失を被った)。
 保護区に入ると、野性の猿に芋などの餌(有料)をあげることもできる。
 マングローブ林の細い水路を小1時間のマングローブ・クルーズなどの、エコツーリズムを堪能。
 マングローブ林から車で数分の所にある海の家で昼食をとる。ウットさんが海岸を走り回り、天然のエビ、蝦蛄 (シャコ)、蟹などを手に入れてくれたおかげで、全員が大満足の昼食でした。

ベトナム最後の夜

13:10 カンゾーを出発。
16:00 HCMへ、全員の希望でそのままベン・タン市場で買い物タイム。
18:45 サイゴン・ホテルをチェック・アウト。
19:00 夕食はベトナムの古典音楽(生演奏)を聴きながら、ベトナム料理を食べる。
 日本人には日本の曲を演奏してくれるなどサービス満点の夜でした。
21:00 タンソンニャット空港へ向かう (カーさんとサイゴン・ホテル前でお別れ)。
 途中、トゥルーンさんが両親の家の近くで下車。
 私たちにはウットさんが最後まで付き添ってくれました。
 一行はトラブルもなく無事帰国。

(記録・小倉恭二郎)