2004年CB中学奨学金授与式

2004年9月17日 (金)~9月24日 (金) 6泊8日機中1泊

参加者:平田煕、ト・ブー・ルーン、ファン・マン・カー、小倉恭二郎、滝本健雄、
出井富美、森戸規子、松永実姫子
北部参加者:小松みゆき、鈴木結(チャット・ビン中学校のみ参加)(敬称略)

[9月17日(金):成田→ハノイ]

 成田空港18:10発 VN959便に予定どおり搭乗したものの、飛行機の中が異常に暑い。
 機体トラブルで、結局2時間20分遅れの20:30離陸。

[9月18日(土):ハノイ→ニンビン→ハノイ]

 一足先に訪越していた出井さん、そしてハノイ在住13年で日越の文化交流に活躍されている小松さん、ハノイ留学3週間目の鈴木結ちゃん(沖縄の大学生)と合流。
 8:45 ホテルを専用車で出発。ニンビン省キムソン県のチャット・ビン中学校を目指して、一路、国道1号線を南下する。

チャット・ビン中学での奨学金授与式  

 カーさんの母校であるチャット・ビン中学校には3時間半弱で到着。
 チャット・ビン村はハノイの南方、93Kmの地に所在する純農村地帯である。小さな村で特に見所はないが、私たちを出迎えてくれた中学生の目がキラキラと輝き、笑顔が美しかったことが印象に残る。

すぐにFUJI奨学金
チャット・ビン中学校での奨学金授与式

 すぐにFUJI奨学金授与式が始まり、ファム・マン・フン校長、および生徒代表から、FUJI奨学基金への感謝の気持ちが述べられる。
 チャット・ビン中学校の生徒たちの学業に対する真剣さ、熱心さを目の当たりにして、つい “日本の中学生よ、もっとしっかり勉強して” と思ってしまう。
 式典終了後、先生方や生徒のお母さん方が作って下さった心の籠もったたくさんのチャット・ビンの郷土料理、わざわざホテルから取り寄せて下さった “ぶどう” に、私たち一同、恐縮しながらご馳走になる。
 私たちも校長先生の笑顔で和み、美味しい料理に舌鼓を打ちながら、先生方と交流を深めた。
 滝本さんが日本伝統の楽器・尺八を吹奏し、“宴” をますます盛り上げ、最高の昼食会・交流の場となった。

 ハノイに専用車で戻り、夕食はハノイ・ガーデン(Hanoi Garden)でいただく。
 食事会には元日本留学生(東大の数学博士)のフィン・ムイ先生(タンロン工業センター所長)も参加され、楽しい宴となった。皆で記念写真を撮り、ホテルへ。

[9月19日(日):ハノイ市内観光]

ドンスアン市場

 ドンスアン市場は、何でも揃う庶民の市場は2階建ての建物で、店内にはところ狭しと商品がズラリと並んでいる。私たちの目的の、サンダル、特産のノン・ラー(すげ笠)も売られている。

ドンスアン市場
ドンスアン市場にて

 衣類、雑貨などなど日用品まで、生活に必要なものはほぼ何でも揃っている。
 特に目に付いたのは生鮮食料品、果物と野菜の種類の豊富さである。素晴らしい食の国!
 市場のおばちゃんたちは威勢が良く、必ず呼び込み声をかけ、生活の臭いを感じる。
 狭い道端では、今朝水揚げされたばかりの生の魚を大きいバケツから出し、小さいまな板で、しかもハサミで捌いている。
 慣れたものですばやい手つき、さすがプロ。
 確かに物価はとてつもなく安いが、ベトナム初めての私には買う勇気はない。慣れるまで時間が掛かりそうである。

バッチャン焼きの村

 ハノイの町を出て、のどかな田園風景に心癒されながら、あぜ道を車に揺られて約40分、陶器の村バッチャンに着く。
 そこには村人たちの穏やかな時間の流れと陶器作りの暮らしがある。日本の “コセコセ” した時間とはまるで違う。

 カーさんの知人の工房を見学。
 職人技がひと目で分かるバッチャン焼き絵付け。若い男女の陶工たちが下絵なしに精緻な絵付け作業に励んでいた。
 窯付近の壁には黒くて丸いものが多数貼り付けられている。これは石炭を粉末にし、再度固めたもので、窯用の燃料として使うという。
 近年、日本を含めて海外からのバイヤーのオファーが増え、経済発展の伸びもこれから期待できるのではないかと思う。

シーズンズ・オブ・ハノイで夕食

 夕食は、旧市街のはずれにあるシーズンズ・オブ・ハノイ(SEASONS OF HANOI)で。閑静な雰囲気のなか、上品な趣のある店構えで、店内にはアンテイークの調度品が施され、シックに演出されている。料理も上品で、私たち食通には嬉しい!
 食事の席には映画監督で数々の国際賞を受賞したダン・ニャット・ミン先生も参加され、楽しい映画のお話を聞きながらの楽しい食事会となった。

[9月20日(月):ハノイ→ホーチミン市]

 9:30にホテルをあとにし、ノイバイ国際空港へ。11:30発のVN217便で出発。
 予定どおり13:30、ホーチミン市のタンソンニャット国際空港到着。
 600万人とも500万人ともいわれる膨大な人口が所有するバイクは250万台とか。老人を除けば1人に1台の勘定になる! 街行く人々が常に動き、まるで動いていないと生活できない感じに思えた。
 フランス統治時代の古い洋館と超近代的な高層ビルが同居する独特な景観は、実に印象的。特に気に入ったのはドンコイ通り、東京でいえば “銀座” かな。
 私たちが宿泊するサイゴン・ホテルの前には、素晴らしいシェラトンホテルが聳えている。

 ベンタイン市場を見学し、夕食はベトナム式バイキング。
 食事の席には(元)法政大学教授工学博士MR DAN RYO(壇 良)先生ご夫妻と東京工大工学博士 MR MGUYEN HONG QUAN様、MR DO VAN DUNG 様がみえられる。
 毎回、夕食の席で非常にご活躍された方や現在もご活躍中の方々にお会いすることができ、興味深くお話をうかがうことができた。

[9月21日(火):ホーチミン市→チャウドック]

  朝食後、専用車に乗りメコンデルタへ。
 目指すのは、カンボジア国境にあるチャウドック市 (ルーンさんの故郷)。思い描いていたとおりの空間だ。南国に来たのだと強い実感が沸いてくる。途中、雨季最中のスコールで田んぼが湖のようであったが、それも母なる大地姿に思えた。
 カントー市に入る手前でバムコンフェリーに乗り換え (11:30)、メコン河を15分で渡る。

 アンザン省の省都ロンスエン市で昼食をとる。ブーロク食堂には、ツー・コア・ギア高校でFUJI奨学基金の奨学生だった、アンザン大学在学生4名が私たちを待っていてくれた。
 ルーンさんの笑顔がますます、嬉しさで輝いて見える。

ビンチャウ中学校女生徒の行進の練習
ビン・チャウ中学校

15:15 佐野良子さんが校舎を寄付されたビン・チャウ中学校に立ち寄る。立派な校舎である。
 教室では先生が厳しい教育を生徒にしており、先生、生徒一丸となって勉強に取り組んでいる感じがした。
 校庭では生徒が、
  モッ ハイ バー
  モッ ハイ バー
  モッ ハイ バー
と、手を横に左右に行進していたのが印象的でかわいい。生徒たちの笑顔、目のキラキラ感が印象的。

ツー・コア・ギア高校での中高合同奨学金授与式  
ツ・コア・ギア高校とグエン・デイン・チュウ中学校での奨学金授与セレモニー
ツー・コア・ギア高校での中高合同奨学金授与式

 チャウドック市のツー・コア・ギア高校に到着。
 ここでは、グエン・ディン・チュー中学校と合同で、奨学金授与式をおこなう。
 私たちを出迎えてくれた生徒たちの目がキラキラと輝き、笑顔が美しい。
 すぐに式典が始まり、高校のタイ・バン・ディン校長先生からFUJI奨学金に感謝の言葉が述べられ、代表の生徒からもお礼の言葉があった。
 厳しい経済環境のなかで真剣に勉強しようとしている生徒たちの気持ちが、痛いほど伝わってくる。貪欲なまでの学ぶことへの一生懸命さに、感動せずにはいられない。

[9月22日(水):チャウドック→カントー]

 チャウドックのホテルを出発し、途中、寄り道しながらカントー市へ向かう。

 まずは、カンボジア・ベトナム国境沿いにある市場(CHO ―TINH BIEN)へ。
 ここでは、焼酎づけや生きたままのサソリを売っていた。虫が苦手な私としては目をそむけていたが、同行の何人かは買っていた。

 続いて訪れたサム山と西安寺の山は、今も民族固有の文化、伝統や風習が息づいている神聖な場所。サム山から下り、チュアバー (CHUA BA) で、日本にはない長いお線香を上げ、皆でお参りする。

 その後、FUJI奨学基金の元奨学生が勤務する幼稚園を訪問。
 彼女はツー・コア・ギア高校時代に私たちの基金の奨学生となり、卒業後、アンザン大学師範科を卒業して、現職に至っている。
 静かな語り口、笑みのなかに子どもたちの教育に携わる彼女の熱意が感じられ、私たち一同、FUJI奨学基金活動の意義を再認識させられたひとときであった。

カントー大学での奨学金授与式

 これから向かう私たちの奨学金授与対象校・国立カントー大学は、カントー市(2004年、省から中央直属都市に昇格。カントー市とホウザン省に分割された)にある。
 カントー市は、古くからメコンデルタの交易都市として栄え、現在はメコンデルタ地帯最大の工業・商業都市である。中心部には、カントー市博物館、ホー・チ・ミン像の立つニンキョウ公園、新鮮な食材が並ぶカントー市場などがあり、その周辺にはショップやホテルなどが集中している。

カントー大学での授与式
カント―大学での奨学金授与式

 16:00にカントー大学到着。
 カントー大学事務局長(フア・バン・チュンさん)他、各先生方に案内され、奨学生の待つ授与式会場に入る。
 チュン事務局長から、FUJI奨学基金への感謝の言葉をいただく。
 「FUJI奨学金基金のおかげで、学生たちが勉強に励むことができる」と、力説してくださる。
 奨学生を代表して、農学科で勉強している学生が私たち一行に感謝の言葉を述べてくれる。
 ここでもまた、これまでの中・高校生同様に顔が輝いている。勉強しようとする気持ちがうかがえた。

 式典終了後、大学の学食で交流会が開かれる。
 日本語を習い始めたばかりの学生が隣にいて、日越の文化交流ができ、非常に有益でした。帰国後早々に、この学生からメールが届き、感激しています。
 この “宴” でも、滝本さんが尺八を吹奏し、加えて私たち3人の “美女軍団” と平田先生が尺八に合わせて日本の童謡を歌い、拍手喝采を受けました。出来映えはともあれ、拍手喝采はいい気分でした。
 ベトナム側のお返しは、学生の皆さんや先生方によるベトナムの歌の披露でした。とても嬉しく、最後に記念写真を写して授与式を無事終了した。

[9月23日(木):カントー→ホーチミン市→翌早朝 成田着]

 7時起床。
 水上マーケット見学組とカントー市場見学組に分かれ、つかの間の自由行動を楽しむ。
 専用車で約4時間かかってホーチミン市へ。

 夕食まで自由行動。
 夕食後、タンソンニャット国際空港へ。
 後ろ髪引かれる思いで23:40発の夜行便で、成田へ。
 9月24日(金)7:25、機は予定どおり無事成田空港到着。
 楽しかった! 皆様、お疲れさまでした!

(松永・記)