2024年奨学金授与の旅:アンザン大学

アンザン大学への奨学金授与の旅もは、今回が最後です。
FUJI教育基金は2024-2025年度の奨学金授与をもって、1996年から約30年間つづけてきた活動を終了し、解散します。
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アンザン大学の皆さんが出迎えてくれました。
奨学金授与式は、2曲の歌で始まりました。
ドラえもん
FUJI教育基金では、アンザン大学では農学部の学生を対象に奨学金を贈ってきました。
舞台中央の車椅子に座っている学生は情報学部の学生です。かれは筋肉が次第に麻痺していく難病にかかっていますが、困難な家庭にあっても勉学への強い意思をもっており、特別枠で奨学金を贈っています。
FUJI奨学金を受けている学生たちに囲まれ、一緒にドラえもんを口ずさむ彼の嬉しそうな表情が印象的でした。
功労芸術家である歌手ハイ・イェン(singer Hai Yen;Hải Yến)さんは、子供向けの歌を数多く歌う歌手。若い頃、ナイチンゲール・チーム、ハノイ子ども宮殿、ソンカ・チーム、ベトナムの声(タン・ラム、ホン・ニュンなどと共演)で活動し、多くの子供向けの歌を録音した。観客に愛されている「Mau ao chu bo dot」、「Ban tay me」、「I love To quoc」、「Khi em nghe goi he…」などの歌は、70年代後半に録音された。これらは現在でもベトナムの声のラジオで放送されている。
また、ハイ・イェンさんはドラえもん、ドナルドダック、チム・トゥイティ、Cho trai dat xanh…など、子供向けの歌も数多く手がけた。多くの外国語(約30か国以上)で歌える歌手としても知られている。
ベトナム青少年劇場(Nhà hát Tuổi trẻ)に所属して公演を行っている。https://youtu.be/ajCMrKA1x88?si=P7d4v2mmDcrQMbAA
一弦琴(ダンバウ)の演奏
グエン・テ・ヴィン(Nguyen The Vinh)さん
https://www.youtube.com/channel/UCb4mTEh9wa36nTieprPn4WA
1973-77年:軍事芸術学校(現軍事文化芸術大学)の単弦楽器(一弦琴;ダンバウ)科を優秀な成績で卒業。
1978-80年:総政治局歌舞団(現軍事歌舞劇場)で活動。1979年の国境紛争の前後、南西部国境と北部国境全域で軍のために演奏。
1981年、国立音楽アカデミーでドラムを学び、1982-94年、青年劇場オーケストラでドラムを演奏。
1996-2012年:青年劇場の渉外および管理を担当、 2001年から外務副部長を務めた。
2012-17年:ベトナム国立演劇劇場(Nhà hát Kịch Việt Nam)支配人となり、劇場の再建と若手アーティストの育成に尽くした (https://qr.paps.jp/UNWoS)。
開会の言葉(2000年にヴォ・ティ・サウ高校を卒業)

アンザン大学の学生はメコンデルタの農村出身者が多く、困難な状況にある学生が多くいます。大学に入学し、通うために払う本人と親の努力は並大抵なものではありません。そのように苦労して卒業した学生たちは、いろいろな分野で活躍しています。
大学はいろいろな支援をいただいていますが、その中でもFUJIの支援は貴重な支援です。 FUJIはアンザン大学の学生に、2006年から19年間にわたって奨学金を贈ってきました。今年も31名の優秀な学生に奨学金を贈ってくれました。
これは、学生たちの経済的負担が軽くなるだけでなく、将来への希望をもてるようになる貴重な奨学金です。学生たちは、期待にこたえるよう、けんめいにがんばっています。
学校側出席者の紹介
ラン(LAN)農村開発学部部長、ロアン(LOAN)学生係、タン学長。タン学長は、ベトナム伝統音楽の作曲家でもあります。

FUJIの挨拶(出井さん)
皆さん、こんにちは。
FUJI教育基金を代表して、皆さんにご挨拶させていただきます、出井と申します。
まず初めに、この場をお借りして、今年8月に亡くなられました、アンザン大学初代学長のボ・トン・スアン(Vo Tong Xuan)先生のご逝去を悼み、心からのお悔やみを申し上げます。
今回の訪問がFUJI教育基金からの最後の奨学金授与であり、今年もまたいつものようにお元気で満面笑みを湛えた先生にお会いできることを楽しみにしておりましたが、それが叶わずとても残念でなりません。本日、墓参をさせていただき、あらためてお世話になった先生への感謝を申し上げ、ご冥福をお祈りしたいと思います。
ところで、先ほど申し上げましたとおり、今回のFUJI教育基金からの奨学金授与を最後に「基金」を解散することになりました。その最大の理由は現有の会員の高齢化によります。
FUJI教育基金は、1996年に設立されましたが、その前身は、1970年代当時から日本に留学していたべトナム人学生グループが、「貧困や家庭環境により、学校に行けない母国の子供たちが勉強を続けられるよう、毎年奨学金を贈る活動」にあります。ルーンさんやカーさんはそのメンバーでした。
その後、こうした活動に思いを一つにする日本人が加わり、それぞれの事情に応じてお金を出しあい、ベトナムの子供たちの「希望のつばさ」になるようにと、多額ではないけれど、皆さんに奨学金を贈ってきました。今は亡きある女性会員は、少ない年金から、毎月、千円(167,000ドン)を送ってきてくれました。
FUJI教育基金の活動は、今年で、基金設立以降だけでも約30年間続けてきました。
現在、私たちが支援している学校は、全国で8校(うち南部が4校、中部が2校、北部2校)ですが、これまで奨学金を贈った生徒・学生数は延べ6,500名になります。
近年、その奨学生の中から大学・高校の先生や保育所など様々な社会的分野で活躍されていることをお聞きしております。
また同時にベトナムの友人たちが、ベトナムでも、ベトナムの次世代を担う子供たちを支援する活動をしようという動きがあることも知りました。私たちにとって何よりの朗報です。
最後に個人的な思い出話をさせてください。ドイモイ(DoiMoi=刷新)政策が本格的に始動し始めた1990年代初頭に、スアン先 生のお世話でメコンデルタ地区のソックチャン(Soc Trang)省、ティエンザン(Tien Giang)省、そしてアンザン(An Giang)省で農村調査を実施した時のことです。
毎朝早くから各村の人民委員会の幹部の皆さんと農家を訪問し、貴重な農家経済の実態を知ることができましたが、私の最大の楽しみは毎晩の村幹部、そして農民仲間との交流でした。45度の強いお酒を飲み、ブン・マムトム(Bun Mam Tom;米粉で打った「そうめん風」の麺を塩漬けにした海老の発酵調味料をまぶして食す農村部の名物料理)を食べながらの語らいでした。そんななか、農民仲間が決まって口にしたことは、現在、日本の教育水準は高く、べトナム人よりはるかに優秀だが、しかし、将来、ベトナムの教育水準が上がり、知識が備われば、ベトナム人も日本人以上に優秀さを発揮できる可能性がある。なぜならベトナム人には「チー・トエ」(tri tue=知恵)があるからだ。仮に1人対1人で比較したらベトナム人の方が優秀かもしれない。ただし、10対10,100対100と数が多くなればなるほど日本人には適わなくなる。この点こそベトナムが日本に学ぶべきことだ。
というものでした。
昨今、ベトナム経済は堅実な発展を続けており、教育環境も大幅に改善し、今、まさにその想定通りの姿になりつつあるのではないかと実感しています。
近い将来、身体的条件が許せば、再び訪越し、かつての農民仲間と語り合いたいものだと願っています。
最後に皆様のご健康と今後のご活躍をお祈りし、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
奨学金授与
元FUJI奨学生の挨拶(アン・トゥ= [ ANH THU] さん)
私は、2007年9月にFUJI奨学金をもらいました。
この奨学金は物的な贈り物だけではありません。私は、精神的な励ましを感じながら大学に通いました。FUJI奨学金は、コロナ禍でも途絶えることなく続けられました。
卒業後、私は大学に残り、学生たちをサポートする仕事をしており、この仕事を誇りに思っています。自分自身困難をかかえていますが、終始、私は後輩たちに援助をしています。
FUJI奨学生の挨拶(4年生フーンさん [農村開発学科])

私の家族は5人家族ですが、いま家には3人がいます。健康がすぐれない祖母と弟、それに私です。
私を大学にいかせることは、家族にとって簡単なことではありません。父親は出稼ぎに行き、母親もホーチミン市で家事の仕事をしています。ときどき私は、自分が大学を辞めて、高校3年生の弟を大学にいかせようと思うこともあります。弟は塾に行く金銭的余裕がなく、カフェでバイトをしています。
一家団欒をすることはできません。母が家にいたとき、母は家で仕事をしていましたが、楽しかった。母は、仕事で手が汚くなっていましたが、それをいつも隠していました。
きょう奨学金をもらえたことを誇りに思います。物質的だけでなく、精神的にもありがたく感謝します。これからがんばって、いい将来に向かって、前に進みます。
タン学長の挨拶とプレゼント
大学にはいろいろなところから支援がありますが、FUJI奨学金は、そのなかでも感激の支援です。
今年は1億5000万ベトナム・ドン(約90万円)の奨学金、19年間に433名の学生を支援していただいた。有意義な活動に感謝します。
きょうの授与式でFUJIの奨学金は終了しますが、これが終わりではなく、私たちは皆さんのことをずっと思い続けることでしょう。ベトナム人と日本人の助け合いの気持ち、つながりを大事にしていきたいと思います。


