2001年9月21日 (金)~9月28日(金)
【9月21日(金)ホーチミン市】
FUJI奨学金代表のルーンさんをはじめ会員のカーさん・平田さん・小倉さん・佐野さん・齋藤・佐藤さん夫妻、調布ミニバラの会の戸田さん・鈴木さん・舟山さん、それに、佐藤さんの知人である盆出さん姉妹・今井さん・佐藤さん・大西さん夫妻、一行17名が成田空港に集合。
成田発17:30(VN959)→ホーチミン市着21:30。
出迎えの人たちがひしめき合い、夜中なのに熱気がむんむんするタンソンニャット空港から、専用バスでそのままSAIGONホテルに直行。
【9月22日(土)チャウドック市で奨学金授与式】
SAIGONホテル発07:00――専用バスにてホーチミン市からミトー市、ロンスェン市経由で、250キロ離れたカンボジアとの国境の都市チャウドック市へ移動。
15:30~17:00――TKN(ツ・コア・ギア)校で奨学金授与式。
TKN校は、従来は中学・高校の一体校だったが、今年度(9月)から生徒数増加のため、中学校、高校に分離した。
生徒たちには、奨学金とともに、寄付金の一部でノートと筆記具を贈った。
VICTORIAホテルにて、19:00から中学・高校の校長先生とともに夕食。
【9月23日(日)チャウドック市】
06:00――シクロに乗って、チャウドック市内遊覧。
08:30――専用バスにて出発。メコン川を対岸にフェリーで渡り、フォーの麺作りを見学。
メコン川に沿った作業場まで、狭い渡り板や、細い丸太で水の上を伝わり、底が浅くて沈みそうな小さいボートに乗って行かねばならない。
男性がひとりで米粉を、セメントと水をかきまわす機械のようなものでこね、籾殻を火力にして湯を沸かし、薄暗い部屋で女性がフォーの麺をつくっていた。
専用バスに乗り、メコン川に沿って北北東方面へ移動し、少数民族チャム族の機織を見学。
機織は絹を複雑な模様に織っていく特殊な技術が必要で、6人しか織れる人は残っていない。
横糸通しを手作業で織る布は、1.2メートル×1.8メートルで5日間かかり、横糸を自動で通す機械で織ったやや単純な模様の布は1日4枚作れるとのこと。
チャム族は、8~12世紀にチャンパ王国を築いた民族で、ベトナム中部に多く住んでいる。この地域には260世帯が住む。
メコン川に沿って、チャウドック市から17キロ離れたタンチャウ(TAN CHAU)へ移動。
洪水でメコン川の川岸が大きくえぐられ、商店などが崩れていた。
紡績工場を見学。
小学生ぐらいから大人までの女性たち80人ほどが、毎日朝7時から夜まで、年間の休みが4日間だけで仕事をしている。
日本の「女工哀史」の世界?
けれども、屈託なく笑い、明るいのが不思議だった。
帰りにフェリーへ乗り込む15:00ごろから猛烈なスコールに見舞われる。
一部の人は、ルーンさんの実家訪問。
【9月24日(月)カントー大学で奨学金授与式】
08:00――ホテルを専用バスで出発。サム山(Núi Sam)へ。
サム山はチャウドック市から約5キロ離れた郊外にそびえる標高二百数十メートルの独立峰だ。
晴れていて、メコンデルタが360度展望できる。カンボジアの山も見える。
サム山のふもとのお寺(Miếu Bà Chúa Xứ Núi Sam)を見学。インドから渡ってきたという仏像に、毎週、毎週新しい絢爛たる衣装が着せ、それらが別棟に飾られているが、あまりの豪華さに驚く。
6年前にこのお寺を訪ねたときに出会った、当時12歳ぐらいだが貧しくて学校へ行けないと言っていた、賢い物売りの女の子は、いまどういう生活をしているだろう。
メコンデルタでいちばん大きな都市カントー市へ移動。
チャウドック市からメコン川に沿ってロンスェン市を経由し、120キロもどってカントー市に到着。カントー市在住のIさんと合流。
15:00~15:40――カントー大学農学部で奨学金授与式
奨学生たちに奨学金を贈呈。
そのあと農学部校舎、大学キャンパス、時間があったのでカントー市内を見学。
17:00~18:30――学生食堂で学生たちと交流会。学生たちが歌をうたってくれた。
FUJI奨学金の一行も、日本の歌をおかえしにうたった。
帰りにIさん邸を “見学”。
超豪邸さに、ことばも出ない。
門番とお手伝いさんがいる。
天井が高く、重厚な調度品、バス・トイレ付の部屋が6つ、回廊にそって隠れ台所もある。
こんな豪邸なのに、家賃は月15万円。
大家さんはお医者さんとのこと。
【9月25日(火)カントー市からホーチミン市へ】
きょうはメコンデルタの水上マーケットに寄ったあと、環境に配慮した農場システムの見学をして、ホーチミン市に戻るという。
カイラン水上マーケット
カントー市の泊まったホテルの前から舟に乗り、カントー川を約8キロくだったところにカイラン水上マーケット(Cai Rang Floating Market)がある。早朝、野菜や果物を大量に積んだ船が集まり、それを買いに小舟が集まり、川面は舟で埋め尽くされる。
小さい子も、いっぱしの船乗りだ。
「バイオガス」の農場見学
カントー大学のパイロットプロジェクトである「バイオガス」の農場を、舟に乗って見学に行く。
バイオガス(Biogas)とは、生ゴミや家畜の糞尿などを発酵させて発生する可燃性のガス。
カントー川の大きい流れから細い水路にはいってしばらく進み、小さい船着き場で降りると農場だった。
豚の糞尿を醗酵させてガスをつくり、一家の燃料をまかなう。
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醗酵済みの糞尿のかすは、養魚場の魚のえさにする (発育が早くなる)。
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池にたまった泥は、年に数回さらって果樹園にまく。果樹の生育が早くなる。豚の餌も自給できる。
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豚はその餌で肥え太る・・・。
という環境循環型の農業経営システムだ。
この日は、そのあと、ホーチミン市まで戻った。
【9月26日(水)ホーチミン市】
自由行動の日だ。
私は、ホーチミン市から北へ160キロ離れた田舎にある、仲間で買った農地を見に行った。ここに、仲間が集まり、一緒に何かをすることができる小屋を建て、ベトナムの子どもたちと何かをしたり、交流したり、のんびりしたり、……。みんな、まだ夢だけど、拠点をつくりたい。
【9月27日(木)ホーチミン市】
きょうも、自由行動。
私は、床屋に行ったり、買い物をしたり、市内を見物したりしてすごした。
床屋は、皮膚を傷つけられるとエイズなどが怖いので、髭剃りは遠慮した。散髪、洗髪が終わると、耳垢掃除が始まった。なかなか終わらない。やめてくれーッて言いたくなったころ、ようやく終わった。
ベトナム最後のディナーをみんなでいただき、タンソンニャット空港へ向かう。日本時間28日午前1時半発のVN 956便で、成田空港へかえってきました。
(齋藤・記)